あくまき全部講座~3日目
あくまき全部講座3日目でした。
1週間前に「ミカンの木灰」「竹灰」「市販の木灰(原材料記載なし)」から灰汁をとり、昨日もち米につけました。
1升(1.8リットル)のあく汁に、1升(1.5のキロ)のもち米、これで15本分できます。
今日は、いよいよ成形と煮方です。
準備は、前日水につけておいた竹の皮を亀の甲たわしで、表面の産毛をとります。
かまどの火も、まき・小枝・竹・杉の葉・新聞紙などを組み合わせ、お湯を沸かしておきます。
ザルに空けたもち米は、約1.4倍に増えているので、140gずつ竹の皮に包んでいきます。
成形のこだわりは、姿かたちの美しさです。
縁起ものなので、紐は縦結びではなく横結び(帯揚げとか帯締めの結び方)、紐で結んでから、きれいに左右対称になるように形を整えます。
さて、ゆで時間ですが、常に沸騰が続く火加減でまず3時間煮て、それぞれをあけて、色の違い、糊化の状態、味の具合をそれぞれ参加の皆さんと試食してみました。
その結果は
◎ 市販のあく汁使用・・・色は明るいべっ甲色、中心部までしっかり糊化しており、弾力もある。あくの香りがやや強いが、好ましい適度な苦み。
◎ 竹灰・・・色は濃いべっ甲色に薄い黒色が混ざった色合い、中心部まで糊化し、米粒がほとんどなく強い弾力がある。あくの香りが強く、野性的な味。煮る時間は2時間30分程度でも良かったかもしれない。
◎ ミカンの木灰・・・色はあかるい透明感のある茶色。米粒がやや残っているものの、中心部までしっかり糊化している。あくの風味がやや薄いので、たべやすいとの声が多かった。さらに30分煮続けた。
3つのあくまき、風味、弾力、糊化の違いがありましたが、どれも、おいしかったです!
早く煮えるのであれば、竹灰や市販の木灰(原材料記載はなかったけど、おそらく樫や椎の灰)が良いでしょうし、強いあくの風味が苦手な方は子どもさんはミカンのの木灰がいいのかもしれません。
そして、煮あがったものに、本来はショウブとヨモギをさすのですが、ショウブがなかったので、園内のいろいろなかわいい花や、葉っぱを挿してみました!
煮ている間のお昼ご飯は、うどんを打って温かいお汁をかけたもの、山菜や春野菜のてんぷら、エンドウやさつまいものご飯でした。
~ 3日間の「あくまき全部講座」を終えて ~
現在は、嗜好品・餅菓子に分類される「あくまき」ですが、本来は「もちの保存食」です。
焼いたり煮たりしないでも、そのまま柔らかい状態で食べられ、さらに傷みにくいという、先人の優秀で有益な食の知恵が詰まっています。
あくまきは一説では、1592年の朝鮮出兵の際、または1600年の関ヶ原の戦いや1877年の西南の役に日持ちする兵糧として作ったと言われていますが、それを示す記録はありません。
しかし、夫や息子を送り出す家族の立場になり想像すると、見えてくる情景があります。
―ー握り飯をたくさん作り持たせてもすぐに硬くなり、数日中には傷んでしまいます。しかし、あくまきは、1~2週間柔らかいまま保存でき、おいしく食べられるのですーー。
大切な人が少しでも食べやすいように、ひもじい思いをしないように、そして無事であるようにと、精いっぱいの切なる願いを込めて作り上げたものだったのだと思います。